借地借家法

【昭和46年、最高裁にて立退料の支払いは立退きに有効との判断】


・家主が申し出た立退料の額と格段の相違のない範囲内で裁判所が
 決定する額の立退料ならば、家主がその金額を支払う意思を表明して、
 その立退料の支払いと引換えに家屋の立退きを求めている場合には、
 家主が明示した立退料の支払いと引換えに立退き請求を容認することが
 出来るとの判断が示される。 平成2.3年をピークとしたバブルによる地価の高騰

・実勢地価の高騰と不動産取引における地上げ業者の暗躍
 銀行の不動産に対する膨大な過剰融資

・立退料の高額化




【平成4年8月1目、借地借家法の一部改正】

社会経済情勢の変化による定期借地権導入と期限付建物賃貸借の新設
※但し、改正以前の契約は旧法が引続き摘要される。


【立退きに関わる主な改正内容】

■正当事由の明確化と立退料の明文化
「立退料の支払いの申出」が正当事由の有無の判断要素になる。


・使用を必要とする事情
・従前の経過、利用状況、建物の現況
・立退料の支払いの申出


そして、いよいよ定期借家制度が施行されます。

【定期借家権の特徴】

・「期限の約束をして貸した家は必ず返してもらえる」
・「完全自由契約・ ・ 当事者の自己責任の原則」



借地借家法第29条

期間を1年未満とする建物の賃貸借は期間の定めのない建物の賃貸借とみなす。


民法第604条

賃貸借の存続期間は20年を越えることを得ず。
これより長き期間をもって賃貸借をなしたる時は、その期間はこれを20年に短縮する。

・賃料の増減額請求権は、定期借家権の場合、賃料の改定に係る特約が存在する場合には適用しない。
・新法が施行される前の契約は従前通り既得権有り(併存する)
・期間満了の確認は6ケ月前の書面による通知が必要
・住居入居者はやむ得えない事情が有る場合1ケ月前の通知にて退去できる(転勤など)


【定期借家権・ 貸主のメリット、活用方法】


立退きトラブルが発生しない

・賃貸するのに烏塘していた物件を賃せる(一戸建てなど個人の持ち家や、別荘など)
・立退き中の一部空室賃貸部分などの収入確保
・高齢者のケアハウス・ 療養所など長期留守宅の一時活用
・期間未定の転勤世帯の一時賃貸


長期事業計画が組みやすい

・利回りの確定(賃料の増減率・ 固定化が可能)
・借上げ会社とのトラブル減少(中途解約、一方的値下げ要求をされない)


賃貸住宅経営に安心して取組める

・経営上の目に見えないコストの減少(不良借家人問題の解消など)
・万一の場合、売却も容易になる(将来処分予定物件)
・次の世代へ問題の少ない資産が継承できる
・リフォームなどしやすくなる

借地借家法は、貸主にとっても借主にとっても、重要な法律です。
定期借家制度が平成12年3月1日 には施行され、ますます賃貸知識が必要となってまいりました。
まずは、借地借家法の現在に至るまでの流れをご案内します。


【大正10年、借地借家法の創設】

・借主を保護するための法律制定といわれています


当時の時代背景

 住宅難・ 期間の定めの無い契約が殆どであり明渡しが大家さんの都合で簡単 に行われ、住宅問題化 していた。




【昭和16年、借地借家法の改正】

・正当事由の条項が追加(家主さん泣かせの正当事由)

旧借家法1条の2
「家主は、自ら使用することを必要とする場合、その他正当の事由がある場合・ ・ 」

※家主が借家人に対して約定の賃貸期間が終了したから家屋を立退けと請求する場合(更新の拒絶)あるいは、期間を定めていないときに借家契約を解約するから立退けと請求する場合(解約の申入れ)には家主自身がその家屋を使用する必要があるなどの立退きを求める理 由がもっともであるとみとめられる事情(正当の事由)がなければならない。



当時の立法者の正当事由解釈

1.自己・ 家族使用の必要性
2.賃料の不払い
3.建物の現状の無断変更
4.無断の賃借権譲渡および転貸
5.賃貸人の破産
6.その他正当事由の補完要因



当時の時代背景

戦時緊急立法の一環として、借家住まいである 出征兵士の家族、都市に集中した労働者といった弱者保護が目的。




【昭和19年、大審院(最高裁)にて借家人保護の法意がいっそう強化】

・正当事由の内容が解釈・摘要面で双方の事情を総合勘案 昭和27年、
 最高裁にて立退料が正当事由を補完すると解釈
・家主が立退きを請求する正当事由としては不十分だが、家主が立退料と
 して相当額の金員を提供するならば、家主側の有利な事情の一つとして
 評価し、正当事由が補完する。という考え方。 (立退料とは借家人が
 移転先となる代替家屋の獲得と移転の困難、及び移転することによる
 生活上の不利益を軽減し、賃貸家屋を使用する必要性を減少させる方法の
 一つと認める)昭和29年、最高裁にて正当事由の解釈さらに踏み込んだ
 判決でした。
・家主と借家人双方の利害関係その他諸般の事情を考慮し、社会通念に
 照らし妥当と認めるべき理由を借家法1条の2の「正当事由」と解釈。

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